6/08/2017

気管虚脱と闘った愛犬ヨーキーの最後

愛犬が旅立って4日が経ちました。

この気持ちを言葉で表現するのはとてつもなく難しく、どのように何を書いたらいいのかもわかりません。

時間が経てば落ち着いて書けるのかもしれませんが、たぶん愛犬を失った思いを言葉にすることはずっと難しいような気がします。

でも、これまで愛犬を応援してくださった方たちへ、彼の最後をぜひ知ってほしいので、ここに記してみます。


このブログで何度か触れていますが、愛犬は生まれて数か月で難治性の気管虚脱であると診断されました。

気管虚脱(Tracheal Collapse)とは、気管が弾力性を失い異常に扁平化することで発症する呼吸障害で進行性の病気です。

シニアになってから発症するわんちゃんも多いのですが、愛犬の場合は子犬の時に診断されたので、おそらく遺伝性のものです。

日本では外科手術を勧めている病院があることはわかっていたのですが、米国動物医学のトップレベルであるペンシルバニア大学、及びカリフォルニア大学デイビス校の見解は外科手術はリスクが大きく、他の手段がない最後の場合のみということでした。

従って、ここ数年間は毎朝晩に数種類の薬を投与して症状を抑えることに徹していました。進行性の病気なので、いつどうなるのか不安な日々、綱渡りの状態でした。

1昨年の6月と9月、6歳の時に呼吸困難そして肺炎を2度引き起こしました。

9月の2度目の時は特に酷く、一時呼吸が止まったのですが、緊急病院での迅速な対応で蘇生して生き延びることができたのです。愛犬はミラクルボーイであると思いました。

それからは夫も私も細心の注意を払って生活し、最近の愛犬は多少呼吸が苦しそうな時(特に夜)はありましたが、比較的安定していました。

亡くなる前日はサンフランシスコにおりました。いつものシティライフで、ホテルに宿泊して、サンフランシスコの街を散歩したり、おいしいものを食べたりして楽しみました。

何事も問題なく、午後にはナパの家に戻ってきて、しばらくの間は普通の状況でした。

ところが、その日の夕方から咳が止まらなくなりました。夕食はとったのですが、咳止めを与えても全く改善しませんでした。

次の手段として鎮静剤を与えると30分ほど静かになりましたが、再び咳が止まらなくなったのです。

これはひどい状況であると思ったので、土曜日の夜中11時にカリフォルニア大学デイビス校(ナパの自宅からは車で1時間)の小動物病院に電話して、緊急診察をお願いしました。

休日の夜中、しかも、ちょうどその時間に帝王切開のわんちゃんの緊急手術が入ってしまったため、愛犬は酸素室に入れられたまま、診察はかなり遅れました。

早朝3時頃、やっとドクター(といってもインターン)が現れて、ちょっと強い鎮静剤を投与したら自力で呼吸できているので、自宅に戻っても大丈夫と言われました。朝には鎮静剤の薬を投与するよう指示を受けました。

家に戻ったのは4時で、しばらく休んでいたのですが、朝8時頃から今度は咳ではなく酷い呼吸音で立ちっぱなしです。座らせようとしてもしない、鎮静剤の薬を与えようとしましたが、飲もうとしません。

再び病院に連れていかないといけないと思っていた時、少し座り始めました。症状が落ち着いて回復しているのかなと思って私が顔を近づけたら、急に2階の部屋へ上がっていきました。

後をつけて様子を見ると、横になっています。口の中を覗くと酷いチアノーゼ症状でぐったり、慌てて夫を呼びました。

愛犬を腕に抱え、緊急病院に連れていかなければと動いた瞬間、私の腕の中で2度程大きく心臓の辺りが痙攣しました。

その後は二度と動くことはありませんでした。

でも、絶対あきらめたくない、蘇生できるかもと思い、一番近い緊急病院(ナパの自宅からは車で30分)に駆け込みました。

病院ではもう死亡していて蘇生を試みても無理だろうと言われましたが、最後のチャンス、心肺蘇生を試みてもらいましたが、ダメでした。

午後に大学病院のドクターと話しましたが、急激に気管がつぶれてしまったのだろうということでした。気管虚脱が急激に進行することはあるらしいです。

他の病気があったわけではないので、純粋に気管虚脱による呼吸困難だったようです。

夜中の大学病院のドクターの診断は正しかったのか、入院を主張していたら延命措置が迅速にできたのではないだろうか、と思いました。

でも、延命治療やリスクの高い外科手術よりも、愛犬は自宅で私たちの匂いを嗅ぎながら、旅立つことを選んだのではないかとも思うのです。

夫と私にとっては、この日がいつか来ることはわかっていましたが、予想もしないあっという間のお別れでした。

子犬の時に2か月程だったと思うのですが、健康で何事もなく過ごした時期はありましたが、それ以外はずっと呼吸器系の病気との闘いでした。

息を吸って息を吐くという当たり前のことが、愛犬にとっては大変な仕事だったのです。ここまで、よくがんばりました。

生後2か月の時、1年もつかどうかとドクターに言われましたが、結局ちょうど8年6か月(2008年12月4日ー2017年6月4日)生きることができたのです。

愛犬の素晴らしいスピリットの賜です。

もっともっともっと生きて欲しかったけど、もうこれ以上がんばらなくてもいいよ、とも思うのです。今はやっと病気との闘いから解放されたはずです。

昨日、火葬を終えて小さな体がもっと小さくなって、家に帰ってきました。


この遺灰はいつか私たちのお墓に一緒に入る予定で、ずっと一緒です。


ブログを通じて応援していただいた方、温かいコメントを残していただいた方、本当にありがとうございました。



🍷ワインカントリー&サンフランシスコのレストラン、ワイナリー、グルメ情報お探しの方は「フード&ワインの日々」